東京デザイナーズブロック(TDB)2002において青山マンションを舞台にRethink、Recreation、Recycle、Refine、Restore、Renovationの実験を試みたR-project。その芽はあちこちに飛び火し、この1年間で様々な活動へと広がっていきました。1997年にアート・フェスティバルを開いて以来、すっかり寂れた街だった「Down Under the Manhattan Bridge Overpass」(通称D.U.M.B.O.)はNYにおけるアートの震源地のひとつに数えられるようになり、カフェやレジデンスも出現しはじめ、新しいコミュニティを形成するに至っています。つまりアーティストの移動が新しいエリア開発に繋がっていたのです。かつてのソーホーやチェルシーもそうでした。

街に散在する空きビルを舞台にした、自由闊達な空間利用の試み。それは経済性を主眼においたリノベーション計画ではなく、自由な表現活動からスタートする価値転換の実験でもあります。セントラルイーストとはかつての東京(江戸)の中心地であり、外部からの働きかけ受け入れつつ変貌を遂げてきた歴史を持つ場所です。地域の活性化を願う地元の方々と創作の場を求めるデザイナーやアーティストの出会いによって、ここがさらに新しい文化を芽生えさせていく格好の実験場となることをわたしたちは確信しています。

TDB-CEは、神田〜馬喰町〜横山町〜東日本橋〜日本橋〜人形町〜八丁堀を結ぶエリアにおいて、街をギャラリー化し、シンポジウムでその意味を問い、イベントで体感する、複合的なフェスティバルです。都市計画、建築、アート・・・これまでバラバラに語られてきたものを融合するものとしてのREDESIGN。その循環としてのRECYCLE。第一回となる今年は、その第一歩を踏み出すにすぎませんが、「このエリアでの、なにかの始まり」の片鱗に、ぜひ、触れてください。

東京デザイナーズブロック・セントラルイースト/プロデューサー
佐藤 直樹 氏 (アジールデザイン)